廃ホテル「グローブボックス」本編 1 or 2



廃ホテル「グローブボックス」プロローグ



“ここはある性癖を持つ者だけが入館できる会員制ホテル「グローブボックス」
このホテルには手袋フェチという嗜好を持つ痴女たちが在籍しており、同じ手袋フェチ、
ことに手袋を嵌めた女性に犯されたいというレイプ願望をの持ち主を会員として迎え入れている。
会員になるためにはホテルで運営している掲示板やSNSで自らの
手袋を嵌めたS的痴女に犯されたいとう願望を述べ、
それが認められた者に会員権が与えられる。
会員権を与えられた者にはホテルの所在地(日本各地に存在しているが、
それを知るのは会員のみ)と入館のためのパスコードといった情報が送られる。
会員になってから必要なものは何もなく、料金もかからなければ年齢制限もない、たとえ未成年であっても
手袋を嵌めた女性に犯されたいという願望さえあればその手袋の楽園へ迎え入れられるのだ。”



日本各地に存在する手袋フェチたちの秘密の楽園、ホテル「グローブボックス」
多くの会員がそこに在籍する手袋痴女たちとの快楽に満ちたひと時を過ごしている。
しかしどこの店舗でも、時が経てば建物の老朽化などにより、ホテルの改装や移転を余儀なくされ、
移転したことにより廃ホテルとなった建物には所有権などの事情により取り壊されることもなく
廃墟となった今もなおそのまま放置されてしまっているものも多いという。
よくある話だが、廃墟となったホテルはならず者たちが勝手に入り込み、残された備品や部屋を破壊する、
壁に大きな落書きを残すなどの行為を働いたり、無料のホテルとして利用する者すらいたり、
あるいはこういった廃墟に一種のロマンを見出す、いわゆる廃墟マニアといわれる者たちが
探索に訪れたりすることも多いという。

このホテル「グローブボックス」は関係者や会員以外の人間、
つまり一般社会では会員制ホテルという以外の情報はほとんど知られておらず、
廃墟化して出入りが自由になったとたん物好きたちが探索にやってきては
ただのホテルかと落胆して帰っていく、各部屋内のベッドや床に散らばっている
ロンググローブには目もくれずに。
もちろんそういった性癖のない者たちにとってはただのSMプレイかなにかの
小道具のひとつだろうくらいの認識でしかないため当然だが。



カタカタ・・・

ある廃ホテル元「グローブボックス」だった建物の一室に、異様な光景が展開されている。
部屋の中心にあるベッドを残し、ほかのテレビや冷蔵庫といった備品は業者か
不法侵入者たちにすべて持ち去られた部屋。

その壁や天井はまるで黒革で作られた家具のような黒一色で、床もまた漆黒だった。
その真っ黒な床の隅に置かれた一台のノートパソコン。誰もいないはずの部屋の中で
パソコンのキーボードからカタカタと音が鳴り続けているのだ。

カタカタ・・・

よく見ると、キーボードのそばの床から一対の真っ黒な腕が、
まるで黒革のロンググローブに包まれたような
細くしなやかな腕がまさにロンググローブの範囲である肘のあたりまで生えて
キーボードを打っているのだ。
さらによく見ると、真っ黒な床全体に違和感を感じる。
その床には、何百、いや何千双もの黒革のロンググローブが
敷き詰められていたのだ。
そして前述の腕はその黒革手袋の海の中から現れ、先ほどから
ずっとキーボードを叩き続けている。
するとキーボードの目の前に、黒革の海の中から、
黒革の腕の持ち主がゆっくりと顔を出した。

SMプレイなどに使われる目と口以外を覆うレザーの覆面を
被ったその女性は、素顔こそわからないが二本の腕が
タイプを続けるパソコンの画面を見つめる。

カタカタ・・・

するとキーボードを打つものとは別の黒革の腕が八本、
漆黒の海から生えてくるとその両手を、
手袋フェチの性癖を持つ者にとっては
それだけで欲情してしまいそうな黒革に包まれた
十本の指をワキワキと動かす。

まるで無数の触手を持つ怪物が獲物を探し求めるように。
ギシッ、ギシッと革の軋む音がキーボードのタイプ音に交じり、
腕の持ち主である彼女はしばらくそれらの
艶めかしいハーモニーに聞き入るような
恍惚とした表情を浮かべていたが、
まるで蛇のような長い舌を出すと、
その腕のひとつの指、親指以外の指をすべて咥え込み、
舐め上げる。

そしてローションのような唾液が糸を引きながら彼女の口から持ち出される。
黒革の手袋に包まれた手は唾液によりヌルヌルに汚れ、
その指をクネクネといやらしく動かしながら

「手袋ガ大好キナ男ノ子、オイデ。犯シテ、搾リタイ。早ク欲シイ・・・」

カタカタ・・・ギシッ、ギチッ・・・

恐ろしくも一部の性癖を持つ者にとってはあまりにも
煽情的なその黒革手袋を嵌めた十本の腕を持つ
女の怪物は、とある場所に放置されている
ホテル「グローブボックス」の跡地である廃墟を住処としている淫魔。
生前グローブボックスに在籍している手袋痴女だった彼女は
死してなおあまりにも強すぎる性欲により
怪物化し、廃墟探索へやって来る獲物を捕らえては、
黒革の手袋に包まれた手と身体によって
獲物の身体中の性感帯を犯し、
徹底的に精を搾り尽くして自らの養分としている。

そして彼女は今まさに新たな獲物を誘い込むために、
古びたノートパソコンを用いて
グローブボックスの会員を募るための
匿名掲示板(会員はもちろん、会員以外でも閲覧が可能なため
一般の手袋フェチであるユーザーも多数訪れ手袋に関する
交流の場となっている)へある噂を
流し込んでいた・・・


カタカタ・・・カタカタ・・・



「グローブボックスに在籍している彼女は四日間の休暇を取り、
「裏ルートで手に入れた超強力な精力剤を試してみる」と語り、
自室で三日三晩その精力剤を服用しながらオナニーに耽っていたらしいが、
五日経っても部屋から出てくる気配がないため
不審に思った関係者がマスターキーで彼女の部屋を開けてみると、
黒革のロンググローブとガーターストッキング以外は
全裸という姿をした彼女がベッドの上で
恍惚とした表情を浮かべたままこと切れていた。

死因は心臓麻痺。
彼女が裏ルートで仕入れたという
精力剤は一般には認可されていないあまりにも強力なもので、
さらには瓶の中からは半分以上の錠剤が消えていたことから
快楽に我を忘れた彼女が危険な薬物を過剰摂取したことが
死因に繋がったとみられている。

またベッドの上には彼女が嵌めていたものと
同じ黒革のロンググローブが何双も散乱しており、
それらはすべて彼女の体液でヌルヌルに汚れていたという。
それから程なくしてそこのグローブボックスは
移転、廃ホテルとなった建物は今でも放置されており、
噂では現場となった部屋の前へ行くと、ドア越しにクチュクチュと女性が
陰部をかき回すような卑猥な水音とともにかすかな喘ぎ声が聞こえ、
しかしドアを開けて部屋へ入っても誰もおらず、
ベッドの上にはまるでたった今までオナニーに使われていたように
生暖かい女性の愛液でヌルヌルに汚れた黒革のロンググローブが
何双も散乱しており、その手袋を嵌めてオナニーすると、
まるでこの世のものとは思えないほどの快楽を得られるという・・・」


ありがちな都市伝説といえばそれまでだけど、
本当なのかある手袋フェチはその廃ホテルを発見し、
件の部屋からエッチな愛液の染み込んだ
黒革のロンググローブを持ち帰ったという報告や、
他の部屋でもホテルの備品として置かれていた様々な素材の
ロンググローブが新品同様の状態で
放置されているという情報には手袋フェチの僕が惹かれてしまうのは当然だろう。

本当はグローブボックスの会員になりたいけれど、
未成年(会員に年齢制限はないけど)
ゆえに親に知られてしまってはマズいためその願いは叶わない。
さりとて通販などで堂々と
女性向けのロンググローブを買うこともできない。

しかも噂のホテルは僕が住んでいる地元に存在し、
内部には僕が欲しくてたまらないロンググローブが
いくつも放置されているかもしれないとなれば、行ってみるしかない。

噂が本当かはわからないため、その痴女お姉さんがオナニーに使っていたという
黒革のロンググローブが見つけられるかはわからないけど、
それ以外にホテルの備品として置かれている
ロンググローブが手に入ればまあそれでもいい。

ホテルからの最寄り駅である山奥の無人駅で
電車を降りると、田舎であるためか駅の周りには僕以外誰も人がいない。
だけどこれから廃墟探索をするとなれば
あまり人の目についても困るためかえって好都合、
気にすることなく僕はスマホを片手に
廃ホテル「グローブボックス」があるという方向へ歩いて行った・・・

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駅から30分くらい歩いただろうか。
思ったよりも早く、そしてすんなりと僕は例の廃ホテルへ
辿り着いた。

いかにもというか、そのホテルは古びた外観、建物の周りは雑草だらけ、
移転してからだいぶ経つことが一目でわかる。
幸いにも民家もほとんどない山奥にあるため周辺には人通りがなく、
ここへ歩いてくるまでの道中では車さえもまったく通らなかった。

さて、問題はどうやって閉鎖された廃ホテルの中へ侵入するかだ・・・

あれ、入口の自動ドア、ガラスが割れでもしたのか扉ごと外され、
バリケードもなにもなくおっぴろげ状態だ。
おそるおそる中を覗くと、薄暗いが難なく入れそうだ。
ここで躊躇しているうちに誰か人が通りかかって見られてしまっても困る、
さっそく僕はリュックサックの中から懐中電灯を取り出すと、
スイッチを入れ足早に廃ホテル「グローブボックス」へと足を踏み入れた。


よし、入り込んでしまえばもう外を誰かが通っても目撃されることはないだろう。
最初に見つけたのは大きなタッチパネル、これは無人の受付で、
画面上に表示された空室から好きな部屋を選び、それから
後ろにあるエレベーターでその部屋がある階へと行くのだろう。
もちろん廃ホテルとなった今では電気も通っていないため、タッチパネルは真っ暗、
エレベーターも動かない。
壁にあるかすれた案内図に明かりを当てる。

どうやらこのホテル「グローブボックス」は一階に受付と管理人用の部屋があり、
二階から六階までが客室、最上階の七階には在籍痴女たちが過ごす部屋という
造りなっているらしい。
まずは管理人室を覗いてみようとドアを引いてみたが
鍵がかかっているようだ。

上の階へ行くにはエレベーターは動かない、
地道に階段を上っていく必要があるようだ。
偶然階段のそばの壁に当たった懐中電灯の光に照らされたものに僕は息をのんだ。
それは額縁に入れられた一枚の大きな写真。
おそらく黒革の手袋だろう、一双の黒いロンググローブが
こちらへ手のひらを向けている。

手だけが、そのロンググローブの部分だけが
写っている。

上へ向かって伸びるように、写真を見ている僕へ手を振るように。
背景はサテンのようなツルツルした
艶のある白い壁、純白の壁と漆黒のロンググローブの対比がとても美しく、
そしてすごくエッチ。

しばらくその写真に見入っているうちに、
勃起している自分に気が付きここが周りに誰もいない
廃墟内であることにホッとした。

さすが「グローブボックス」、スタッフもみんな手袋フェチというだけあって
ここへ訪ねてくるお客さんたちの趣味をよく理解している。

なんてお宝だろう、この写真だけでもオカズにできそうだ。
正直もらっていきたいけれど、残念ながら僕が背負っている
リュックサックには入らない大きさ。

それに僕の目的は本物の手袋、それもこのホテルの備品として置かれている
ロンググローブ。
写真ならネットでいくらでも見れるじゃないか。
寄り道はここまでにして、僕は客室のある
階へと続く階段を上って行った。


現在、僕は六階の調査を終え、
七階へ続く階段をげんなりしながら登っている。
やはりというか、この手の廃墟は
物好きやならず者たちが荒らしに来ることが多いためか、
ほとんどの部屋はドアがしっかりと施錠され、
中を覗くことすらできなかったのだ。
いくつかドアがこじ開けられていた部屋もあったけれど、
それらはみんな荒れ放題、室内に置かれたベッドや冷蔵庫、
壁の支払機はバラバラに破壊され床には
破片が散らかり、壁にはスプレーで描かれたよくわからない落書き。
これが現実かな。

かつては手袋フェチの人々が享楽に浸っていた楽園の残り香、
あわよくばそのホテル「グローブボックス」のマストアイテムであり備品でもある
手袋のいくつかが残っていないかと期待していたのは
やはり間違いだったのかな・・・

仕方ない、後は「グローブボックス」に在籍していた
痴女お姉さんたちの寝泊りしていた部屋が並ぶ
最上階を調査したらホテルを出て帰ろう。


僕の両親は旅行へ出掛けていて今夜は帰らないし、明日は学校も休みだ、
早いところ家へ帰って手袋を嵌めた痴女系お姉さんが出てくる
アダルト動画でも観てオナニーしよう。

そんなことを考えながら最上階と辿り着いた。
廊下は他の階と変わらず、部屋の配置もほぼ同じ。
だけどほかの階とは違い、ドアはすべて閉まっており
こじ開けられているものはひとつもない。

そして閉じられているドアのノブを次々に引いてみるが
やっぱりどれも開かない。
どうやら侵入者たちも途中の階で飽きてしまったのか、
最上階を荒らされているような形跡がまったくないのだ。

ギチッ・・・ギュッ・・・

一番奥の部屋まですっかり調べ
(といってもドアノブを引いて開かないことを確認しただけだけど)、
諦めて帰ろうとした僕の耳になにかの音が
聞こえたような気がした。
いや、ここには僕以外には誰もいないはず、
物音がするなんてことは・・・


ギュッ、ギチッ、ギチッ、ギュム・・・

僕は恐怖で硬直した。

今まで幽霊というものにたいして僕は半信半疑、あまり関心は持っていなかった。
ここへ入る前にネットで調べた陳腐な都市伝説の話を
くだらないと一蹴しつつもちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
意識しているところもあった。

テレビで心霊番組を観て夜眠れなくなってしまったこともある。
まさか本当の幽霊がここにいるのかな?
でも幽霊にもいろいろな人たちがいるはずだ。
その多くは生前の未練、
恨みや欲求、そしてここで亡くなったという
痴女お姉さんは強力すぎる精力剤と手袋を用いた
オナニーの快楽に溺れて死んでいった。
もしかしたらすごくエッチな幽霊、いわゆる色情霊なんてものになっていたりして。
そういえばなにかの本で読んだっけ。

霊能力とかいうものを持っていなくても、
その人と幽霊の“波長(本ではラジオの電波のようなものといわれていた)”
というものが合えば、実際に遭遇することもあるんだとか。
もし彼女がそんな色情霊で、常日頃手袋を嵌めた
痴女お姉さんに犯されるという妄想でオナニーしている僕と遭遇して、
あわよくば生前このホテルで手袋痴女として在籍していた頃のように
僕にエッチなことを・・・

思春期特有のピンク色に染まったあまりにもシュールな妄想により
恐怖心はすっかり薄れ、自分でも呆れながらさっきの音について考えてみる。

あの何かがきしむようなあの音、どこかで聞いた覚えがある。
それに答えたのは、恥ずかしながら僕の股間、
記憶が呼び覚まされ、物音の正体を探り当てた。

以前観たアダルト動画、黒革のロンググローブを嵌めた痴女が
仰向けに拘束された男を貪り犯す内容の。

プレイ開始時に彼女はしなやかな長い腕を
黒い革手袋の中へ通していき、その黒革に包まれた
指の一本一本に手袋を馴染ませるように、
これから犯される獲物となった男へ見せつけるように両手を開いたり閉じたり、
ワキワキと指を動かしたり、そして漆黒の革がきしむ音が鳴り響き・・・

音が聞こえた気がしたのはこの部屋だ。この階もすべて調べ、
ドアはどれも開かないとわかっている、わかっているはずなんだけど。

ガチャッ

開いた、開かなかったはずのドアが開いたのだ。

今、僕の心臓は高鳴っている、未知の恐怖と緊張、そして期待・・・?
でもまるで親の留守中にこっそりアダルトサイトを覗くような気持ちで、
僕はその部屋へと入っていった。



ドアを開けたとたんに僕はほんのりと感じた。
靴屋さんでよく感じたあの革の匂い。

間違いなくこの部屋にはある、ここグローブボックスに在籍していた
痴女が嵌めていた黒革手袋が。

他の部屋と構成は同じらしく、入口の右側にはトイレとバスルーム、
そして正面に見えるドアがベッドルームだ。
迷いなくベッドルームのドアを開けて中へ踏み込む、より一層強い革の匂いが
僕の鼻に飛び込み、同時に妙に柔らかい床の感触に違和感を覚える。

咄嗟にドアのそばにあった電灯のスイッチを押すと、
廃墟であるはずのこの部屋の明かりが点いた。
だけど、この時の僕にはそんな疑問なんかどうでもよかった。



異様な光景だった。真っ黒な床、真っ黒な壁、そして天井は鏡張り。

漆黒の床と壁は妙に柔らかく、まるで革でできているように見える。
いや、この部屋に立ち込める匂いは間違いない、革の匂いだ。

革張りのソファーなどは見たことがあるけど、
壁や床まで革張りの部屋なんて見たのは初めてだ。

ここに住んでいた在籍痴女はよほどの
革フェチだったのだろうか?

でも今僕の目を奪っているのは、黒革張りの壁や床でも鏡張りの天井でも
部屋の隅に放置されている古いノートパソコンでもなく、
部屋の中央に置かれたベッド。
廃墟に放置されているものとは思えないほどきれいな状態で、
真っ白なシーツまで
敷かれている。

漆黒の部屋の中に置かれた真っ白なベッド、
さらにそのベッドの真ん中には
「一双の黒革のロンググローブ」
が置かれていたのだ・・・

廃墟であるはずなのに電気が通っているホテルの一室、
きれいなベッド、揃えて置かれている
黒革のロンググローブ。

どう見てもあり得ない、まるで罠のような光景だが、
興奮のあまりもはや理性を失っている僕は
フラフラとベッドへ歩み寄る。

ダブルベッド、いやそれよりも大きい、
キングサイズとでもいうのか。その中央に置かれた
ロンググローブを取るには手を伸ばしても届かず、
やむなくリュックサックを降ろし、
靴を脱いでベッドの上へ。

夢じゃないだろうか?震える手でずっと憧れてすらいた
黒革のロンググローブを手に取る。

柔らかい、牛革かなにかだろうか。そして顔に近づけると、鼻いっぱいに・・・
ほろ苦く、そしてどこかに甘さが混ざり合っているような
黒革手袋の匂いにとろけそうになってしまう。
見たところこのロンググローブも
新品同様の状態のようで、表面にも裏側にも
汚れやダメージはないようだ。
ちょっとエッチな宝探しは大成功というわけ。

ああ、来てよかった、できることなら誰もいないこの廃ホテルの一室で
すぐにでもこのこのロンググローブを嵌めてオナニーをしてしまいたいけれど、
まずは家に帰るまでは我慢してと


ギチッ、ギチッ・・・ギュッ、ギュムッ、ギチギチ・・・


突然鳴り響いた音に僕は部屋に入る前も聞いたのあの音を思い出した。
そういえば革が軋むようなあの音の正体は?


ゴゴゴゴゴゴ・・・ギチッ、ミシッ、ギュチッ

じ、地震!?いや違う、揺れているのは、床?黒革の床と壁が波打っている、て、手袋!?

信じられない光景だった、黒い革張りの壁と床が、無数の黒革の手袋に変化している!

壁からは肘までの黒革の手がぎっしりと隙間なく触手のように生えてウネウネと不気味に蠢き、
床では黒革のロンググローブたちが蛇のようにクネクネと這い回っている。

鏡張りの天井を見ると、黒革のロンググローブの
海の上を真っ白なイカダで漂流しているような錯覚を覚えた。

これは、夢だろうか?
いくら僕が手袋フェチといったって・・・

ギュム、ギチッ、ギュッ、ギチギチッ、ミシッ、ギチッ

狂気に満ちた光景の中でありながら、
床を這いまわる黒革手袋たちが軋む音、そして部屋中に充満する
革手袋の芳香に勃起している自分に気が付いた。

僕が乗っているイカダ、真っ白なベッドを囲む黒革手袋の海、
しかし先ほどよりもその水位が
上がってきているようだ。
漆黒の水面が僕のイカダの淵まで迫ってきたその時・・・



ガシッ


「えっ?」


突然誰かに腕を掴まれた。なんと黒革の海の中から、
長い黒革手袋に包まれた腕が六本現れ、僕を襲う。


「うわっ、なんだこれ!?離せっ」

必死に振りほどこうとするが、
その腕はとても力が強く、また三対もの腕にはとても
僕の力ではかなわない。

その黒革の腕たちはすごい力かつすごい早さで
僕のTシャツを脱がし、靴下を抜き取り、
一対の黒革の手が僕を仰向けに寝かせると、
そのままベッドへ拘束するように両手首を
がっちり掴んで放さない。

続いてほかの黒革手袋たちがズボンをはぎ取り、
そして勃起していることにより
テントを張ったように膨らんでいるパンツさえも・・・

ガシッ

「や、やめろ!やめ・・・て」

今度は両足首まで掴まれ、今仰向けになっている
僕の目の前には鏡張りの天井、その中では
無数の黒革手袋が泳ぎ回る海の中に浮かんだベッドの上に、
黒革手袋の腕によって両手足を掴まれ
拘束されている自分の姿が見える。
得体の知れないなにかに捕まっているというのに、
無数の黒革手袋を見ている興奮から僕は勃起してしまっている。

手袋を嵌めた女性の手で犯されたい、射精させられたい。
そんなレイプ願望を持つ僕にとっては
夢のような悪夢の光景が、現実で起こっている?信じられない、
でもこの革手袋たちが軋む音と革のいい匂い、そして・・・

クリクリ・・・

「あっ!?んっ」

突如として乳首に触れる柔らかいなにか。

鏡張りの天井を見ればわかる、漆黒の海の中から伸びた一対の黒革手袋の腕が
僕の胸に伸び、そのしなやかな指先で僕の乳首を犯している!

いやらしい触手のように、ネチネチと乳首の先を
人差し指でクルクルと撫でまわし、
そして親指とともに摘まんでぐりぐりとこね回し・・・

「ああっ、やっ、んんッ!」

まるで女の子のような声が出てしまうが、体を拘束され身動きが取れない状態で、
柔らかい黒革手袋に包まれた細くしなやかな指に、乳首責めなんてされてしまえば
どうしようもない、革手袋って、なんて気持ちいいんだろう


クリクリ、ぐりぐりぐり、クリクリクリクリクリクリ・・・

「あんっ、ああっ、うっ、ああ・・・ンンッ!」

黒革のクラーケンによる乳首責めの快楽でいつの間にか顔の横に
迫っていたもう一対の刺客に気が付かなかった僕は
いきなり口を塞がれてちょっとびっくりした。

まるでサスペンスドラマなんかで、
背後から黒革手袋を嵌めた誘拐犯や殺し屋に
襲われ口を塞がれたようなあの感覚。

「んんっ、ンンン、ンンン~~!」

なんとか振りほどこうと首を左右に振るが、獲物を捕らえた黒革手袋はぴったりと
僕の口に吸い付きけっして放さない。

天井の鏡に映る僕の姿は、突然黒革手袋を嵌めた手に口を塞がれて襲われる、
まさにサスペンスドラマに登場する被害者のそれだった。
口こそギュッと押さえつけられているが、鼻だけは自由がきき、呼吸はできる。
それと同時に黒革手袋の革の甘く、ほろ苦い、そしてエッチな匂いが僕の鼻に流れ込む。


クリクリクリクリクリクリクリクリ・・・・・・


「ンッ、ンフゥゥゥ、ンンッ・・・」


サワサワ・・・


革手袋の匂いにクラクラしながらも乳首を犯す気持ちよさ、
そしてもうはちきれそうなくらいに勃起している

僕のペニスを狙うように、また新手の黒革手袋が一対現れ、
僕の腹部から太腿までをを撫でまわしている。

柔らかい黒革の手が優しく、でもペニスには触ってくれず、
ペニスの周りをぐるぐると回るように
お腹と太腿をサワサワと撫でまわし、
その黒い手がペニスに近づく度に僕の全身はビクッ、と反応してしまう。

それでも黒革の手たちははただ僕の乳首をクリクリと刺激し、
勃起したペニスを無視して腹部と太腿を撫でまわす。

革手袋での匂い責めと乳首責めが始まって10分は経っただろうか、
次に射精したいのにできない欲求不満で
ペニスと玉は破裂しそうなくらいパンパンに張りつめている。

この柔らかい黒革手袋でおちんちんを触られたら、
どんなに気持ちいいのかな・・・



昔ある手袋愛好家のサイトに掲載されていた
手袋の妄想ストーリーのワンシーンを思い出した。

・・・たしか“トリプルL”っていったけ、
悪の組織に属する黒ずくめの女たちに
拉致された一人の女性が狭い箱の中で目を覚ますと、
突如として箱のあちこちに穴が開き、
そこから入り込んできた黒いロンググローブを
嵌めた女たちの手に襲われ、身体中の性感帯を
滅茶苦茶に犯される・・・


何度そのシーンをオカズにオナニーしただろうか?

手袋フェチのひとりとしては無数の手袋を嵌めた女性の手に
身体中を犯されイカされまくるなんて夢のようなシチュエーションじゃないか。
いや。夢なら覚めないでほしい、そして、今焦らされているこの、
黒革のロンググローブたちによって
欲情させられている僕のおちんちんを犯してほしい・・・

イキたい、犯されたい、この黒革手袋に包まれた手で、僕のペニスを触られて、
シコシコとシゴかれて、ザーメンを何度も搾られたい、
イッてもやめずに、一滴残らず搾り取られたい、犯されまくりたい!

イキたい、犯してほしい、その黒革手袋で、
壊れるほど気持ちよくされたい・・・


ズルズルズルズル・・・

「ぷはっ・・・え?」

いきなり僕の口を塞いでいた黒革手袋と乳首を犯していた
黒革手袋が離れ、黒い海へと戻っていく。

だけど両手足を掴む手袋たちはそのまま、
突然の革手袋での匂い責めと
乳首責めの中断に僕はきょとんとする。


ズズズ・・・


「えっ!?」


その時、黒革のロンググローブたちが泳ぐ
漆黒の海の中から彼女は現れた。

ゆっくりと、目と口以外を覆う黒革の覆面で人相
(生前は指名ナンバーワンの痴女だったらしいから間違いなく美人だと思うけど)が
わからない頭、首元が現れ、まるで勃起するようにピンと立った黒革のような
真っ黒な乳首を持つ豊満な白い胸、すらりとした長い脚を包むガーターストッキング、
下着などは一切身に着けておらず、陰部からは蜜のような透明な愛液が滴り落ち、
その一滴が黒革の海へと消えていく、

そして千手〇音のように何本も生えた腕はすべて黒革のロンググローブを嵌めている。

この怪物が、このお姉さんこそが都市伝説にもなっていた
ここグローブボックスの在籍痴女、
亡くなった時と同じように黒革のロンググローブと
ガーターストッキング以外は全裸、
でもその革手袋に包まれた腕を何本も生やした姿の色情霊となり、
ここで獲物を待っていたんだ!
恐ろしく、そしてすごくエッチな怪異に僕は恐怖と射精への
欲求で動揺するしかなかった。


『イラッシャイ、坊ヤ・・・』

「ひいっ!」

すると何本もの黒革のロンググローブに包まれた
腕の一双がちょうどグローブで
覆われている肘のちょっと上あたりから
明らかに人間とは思えない長さまで伸び、僕の目の前へ。
まるで某漫画に出てくる「ゴム〇ムの実」と「ハナ〇ナの実」
ふたつの能力を持っているような感じだろうか。

僕のすぐ目の前まで伸びてきた黒革のロンググローブたちは、
その両手を開いて閉じて、指をいやらしくクネクネと動かし


ギュチッ、ギチッ、ミシミシッ、ギュッ


革手袋が軋む心地いい音が響く。
彼女の方はといえば、目と口以外を覆う黒革の覆面の下で
艶めかしい目つきをしながら
まるで蛇のような長い舌をレロレロとしながら、
すっかり黒革のロンググローブに魅せられている僕の心を見透かすように
その黒革の手の動きと革の軋む音でさらに僕を魅了する。

恐怖で一度は萎えかけた僕のおちんちんが今では再びギンギンに勃起してしまっている。


ギュム・・・

まさに巨乳といえるサイズをした怪物の真っ白な胸に黒革手袋が食い込む。
一双の黒い手が僕の前でエッチなダンスを繰り広げる一方で、
痴女はどんどん硬くなっていく僕の肉棒を見つめながら
犬のようにだらしなく舌をだらりと出したまま
黒革手袋で自らの胸を揉みしだく。

まるで白い胸の上を大きな二匹の黒い蜘蛛が這いまわるように蠢き、
漆黒の手が柔らかい胸をグニグニと揉み込んでいき、
おっぱいは歪な形に上下左右へとこねられ、
ときに乳首を人差し指と親指でクリクリと刺激する・・・

『あんっ、んん、んふぅ・・・』

怪物が色気のある喘ぎ声をあげる。

しばらく僕の目の前で踊る革手袋の軋む音と彼女の喘ぎ声が続く。


クチュックチュッ・・・

聞きなれない水音に頭を上げる。

この音は、怪物の股間の方から・・・いつの間にかもう一双の黒い手が
彼女の股間、おマンコを犯している、人差し指、中指、薬指の
三本がウネウネとエッチに蠢き、
クチュッ、クチュッ、と淫らな音と共ににじみ出る
愛液を絡め取りながら少しずつ、
少しずつ陰部へと侵入していくのが見える。
怪物が、黒革手袋の痴女が、
欲情しながらオナニーをしている!


クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュッ、クチュッ
クチュックチュックチュックチュックチュックチュックチュックチュックチュックチュッ
クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ・・・・・・


『ハァ、ハァ、んんっ、アンッ!あっ、あっ、ンッ、んあああっ!イク、イクゥゥゥゥゥ!!』


黒革手袋が陰部をかき回す水音、
そしてどんどん大きくなっていく痴女の嬌声により
革が軋む音はかき消され、
踊っていた二双も役目を終えたように下がっていく。

乱暴に自らの胸を揉みしだき、陰部を激しくほじくり回していく

革手袋の怪物がとうとう絶頂を迎えた。

プシュアアアアアアア・・・・!!!

痴女は白い胸を黒い両手で握り締め、
腰を、下半身全体を、ビクビクと震わせながら
大きく仰け反り、陰部からまるでホースのように
透明な液体を放出した。

しかし不思議なことに液体として噴き出したはずの潮吹き汁は
霧状になりながら、僕の頭、胸、お腹、
そしてビンビンに勃起したおちんちんと
全身にふりかかる。

それに、まるで香水のような甘い香りがする。
とても人間の股間から出てきた液体とは思えない。

やっぱりこのお姉さんは人間ではない、
この世に性的な未練を遺して死んだ結果、
何本もの腕に黒革のロンググローブを嵌め、
欲情しきったサキュバスのような
色情霊になってしまったのだ。

僕は、そのサキュバスに獲物として捕らえられ、そして・・・

痴女の股間から噴き出した霧状の
愛液を全身に浴びたとたん、異変が起こった。
身体中が火照るような感覚に襲われる。

乳首が、おちんちんが、それになんだかお尻の中も熱い?
まさか、この怪物の体液って、
獲物を欲情させる催淫剤みたいな効果があったりして?

「・・・あっ!」

ズルズル、ムリュッ、

僕のおちんちんが、普段は皮が被っている肉棒が、
勝手に皮が下までズルズルと剥けていき、
亀頭、そして自分でオナニーする時でさえ
怖くてあんまり剥けないカリの部分まで、
カリのでっぱりをも超えてズル剥けになっていき、
竿はさらにガチガチに硬くなり、
金玉もパンパンになっている。

しばらく後ろに倒れそうなほどまでに仰け反ったままだった
怪物がゆっくりと起き上がると、
黒革の覆面の中から舌なめずりをしつつ
獲物である僕を見下ろしながら
見たところ十本以上も生えている黒革のロンググローブに
包まれたすべての黒い手をワキワキと動かし、
これから起こるであろうことを僕に想像させる。
犯される、僕は、この無数の黒革の触手を持つ痴女に、
欲情しきった多腕のグローブサキュバスに、
滅茶苦茶に、カラカラになるまで搾り取られ、犯される。


期待と恐怖の中で、僕のペニスの先端から、透明な先走り汁がトロリと垂れる。



「続く・・・・・・・・・」